法律ができるまで

内閣提出法律案の立案、成立及び公布までの過程を紹介しています。

法律案の原案作成

内閣が提出する法律案の原案の作成は、それを所管する各省庁において行われます。
各省庁は所管行政の遂行上決定された施策目標を実現するため、新たな法律の制定又は既存の法律の改正若しくは廃止の方針が決定されると、法律案の第一次案を作成します。

この第一次案を基に関係する省庁との意見調整等が行われます。
更に、審議会に対する諮問又は公聴会における意見聴取等を必要とする場合には、これらの手続を済ませます。
そして、法律案提出の見通しがつくと、その主管省庁は、法文化の作業を行い、法律案の原案が出来上がります。

内閣法制局における審査

内閣が提出する法律案については、閣議に付される前に全て内閣法制局における審査が行われます。
内閣法制局における審査は、本来、その法律案に係る主管省庁から出された内閣総理大臣宛ての閣議請議案の送付を受けてから開始されるものでありますが、現在、事務的には主管省庁の議がまとまった法律案の原案について、いわば予備審査の形で進める方法が採られています。
したがって、閣議請議は、内閣法制局の予備審査を経た法律案に基づいて行われます。

内閣法制局における審査は、主管省庁で立案した原案に対して、

  • 憲法や他の現行の法制との関係、立法内容の法的妥当性、
  • 立案の意図が、法文の上に正確に表現されているか、
  • 条文の表現及び配列等の構成は適当であるか、
  • 用字・用語について誤りはないか

というような点について、法律的、立法技術的にあらゆる角度から検討します。

予備審査が一応終了すると主任の国務大臣から内閣総理大臣に対し国会提出について閣議請議の手続を行うことになり、これを受け付けた内閣官房から内閣法制局に対し同請議案が送付されますが、内閣法制局では、予備審査における審査の結果とも照らし合わせつつ、最終的な審査を行い、必要があれば修正の上、内閣官房に回付します。

国会提出のための閣議決定

閣議請議された法律案については、異議なく閣議決定が行われると、内閣総理大臣からその法律案が国会(衆議院又は参議院)に提出されます。
なお、内閣提出法律案の国会提出に係る事務は、内閣官房が行っています。

国会における審議

内閣提出の法律案が衆議院又は参議院に提出されると、原則として、その法律案の提出を受けた議院の議長は、これを適当な委員会に付託します。
委員会における審議は、まず、国務大臣の法律案の提案理由説明から始まり、審査に入ります。審査は、主として法律案に対する質疑応答の形式で進められます。
委員会における質疑、討論が終局したときは、委員長が、問題を宣告して、表決に付します。
委員会における法律案の審議が終了すれば、その審議は、本会議に移行します。
 
内閣提出の法律案が、衆議院又は参議院のいずれか先に提出された議院において、委員会及び本会議の表決の手続を経て可決されると、その法律案は、他の議院に送付されます。
送付を受けた議院においても、委員会及び本会議の審議、表決の手続が行われます。

法律の成立

法律案は、憲法に特別の定めのある場合を除いては、衆議院及び参議院の両議院で可決したとき法律となります。
こうして、法律が成立したときは、後議院の議長から内閣を経由して奏上されます。

法律の公布

法律は、法律の成立後、後議院の議長から内閣を経由して奏上された日から30日以内に公布されなければなりません。
法律の公布に当たっては、公布のための閣議決定を経た上、官報に掲載されることによって行われます。
(官報では、公布された法律について、一般の理解に資するため「法令のあらまし」が掲載されています。)
 
「公布」は、成立した法律を一般に周知させる目的で、国民が知ることのできる状態に置くことをいい、法律が現実に発効し、作用するためには、それが公布されることが必要です。
なお、法律の効力が一般的、現実的に発動し、作用することになることを「施行」といい、公布された法律がいつから施行されるかについては、通常、その法律の附則で定められています。
 
法律の公布に当たっては、その法律に法律番号が付けられ、主任の国務大臣の署名及び内閣総理大臣の連署がされます。